DeepSeek V4 Flash Vision 実測:画像・動画・AI絵本の企画

AI Cartoon Generator TeamAI Cartoon Generator Team
Aug 22, 2026

DeepSeek V4 Flash Vision は、DeepSeek が新たに公開した実験的な視覚モデルです。画像を読み取り、その内容に基づいてテキストを生成します。プロンプトの整理、絵コンテの設計、ストーリーの骨組みづくりなどが可能ですが、画像や動画そのものを直接生成するわけではありません。

カートゥーン制作の現場では、このモデルは企画・設計段階のアシスタントとして機能します。参考画像を与えると、キャラクター、シーン、小道具を認識し、それらの情報を画像生成・動画生成・AI絵本生成ツールがそのまま利用できる形に変換してくれます。

今回は、AI Cartoon Generator が実際に生成したキャラクター画像を1枚用意し、DeepSeek V4 Flash Vision がそれを画像生成プロンプト、動画絵コンテ、6ページ構成のAI絵本ストーリーへと展開できるかを検証しました。うまくいった点も、失敗した点も、そのままお伝えします。

DeepSeek V4 Flash Vision の画像プロンプト・動画絵コンテ・AI絵本テスト用素材

DeepSeek V4 Flash Vision とは何か

DeepSeek は2026年8月21日に、deepseek-v4-flash-vision-exp をリリースしました。公式発表によると、これは実験的なマルチモーダル視覚理解モデルであり、V4 Flash のテキスト処理能力に画像入力機能を追加したものです。

まず、混同しやすいモデル名を整理しておきます。

名称画像入力得意な用途
deepseek-v4-flash不可テキスト生成、推論、エージェントタスク
deepseek-v4-flash-vision-exp画像理解、視覚QA、画像に基づくテキスト計画
第三者が公開する V4 Flash Vision 系プロジェクト実装次第外部視覚モデル接続、プロキシ層、コミュニティ製ブリッジなど

通常の deepseek-v4-flash は、リクエストに image_url を追加しただけで画像を認識できるようにはなりません。実際に同じ画像を通常の Flash に送信したところ、API は HTTP 400This model does not support image を返しました。画像を処理するには、公式の Vision Exp モデルを選択する必要があります。

DeepSeek の公式 Vision API ドキュメントによると、このモデルは画像とテキストを受け取り、出力はテキストのみです。視覚情報を理解することはできますが、実際の PNG 画像や動画、絵本のイラスト生成は、それぞれ対応する生成モデルに任せる必要があります。

3つの制作タスクのテスト方法

テスト日時は2026年8月22日です。3回のリクエストすべてで、同じ 1122 × 1402 の PNG 画像を公開画像URL経由で渡し、detailhigh に設定しました。この画像は、当サイトの実際のAI絵本生成フローで作成されたものであり、DeepSeek が生成したものではありません。あくまでモデルの画像理解能力をテストするための素材として使用しています。

DeepSeek V4 Flash Vision のテストに使用した月光の庭園キャラクター画像

3回のリクエストはすべて以下の設定で実施しました。

  • モデル: deepseek-v4-flash-vision-exp
  • 画像詳細度: high
  • temperature: 0.2
  • thinking: disabled
  • 出力要件: 有効なJSON、Markdownコードフェンスなし
タスク入力トークン出力トークン合計トークン完了ステータス
画像生成プロンプト483255738stop
動画絵コンテ(8秒)507418925stop
6ページAI絵本51911161635stop

当初は thinking を有効にした状態でテストを開始しましたが、結果は芳しくありませんでした。画像生成プロンプトのリクエストでは max_tokens を1200に設定しましたが、出力トークン1200のすべてが reasoning に消費され、最終的な content は空になりました。AI絵本のリクエストでも同様の問題が発生し、出力トークン5000のうち4374が reasoning に使われ、本文は2ページ目で途切れてしまいました。thinking を無効にしたところ、3つのタスクすべてが1回のリクエストで完全な結果を返しました。

これは思考モード自体が悪いという意味ではありません。思考プロセスが最終的な本文と出力トークン枠を共有するためです。定型フォーマットのタスクでは、モデルに長時間の推論をさせる必要は通常ありません。どうしても必要な場合は、出力上限を増やし、finish_reason を確認する必要があります。

テスト1: 参照画像から画像生成プロンプトを抽出

最初のタスクは、参照画像から55〜90語の英語の画像生成プロンプトを1つ作成することです。モデルには、画像に実際に写っている内容のみを記述し、推測やスタイル名の追加をしないよう指示しました。当サイトでは画像生成前にユーザーが選択したスタイルを別途追加するためです。

主要なリクエストは以下の通りです。

Study the reference image and write one reusable English text-to-image prompt
that recreates its core story moment without naming a style.
Return observed_subject, observed_setting, generation_prompt,
and negative_constraints. Keep generation_prompt between 55 and 90 words.

DeepSeek が返した generation_prompt は以下の通りです。

A small child with brown hair and large green eyes stands on a stone path in a
nighttime garden. They hold a glowing lantern in one hand and a large green leaf
in the other, wearing a light blue hoodie and tan shorts. A flower-covered
archway frames the scene, with a pond of water lilies nearby. A winding trail of
glowing lights leads into the distance under a crescent moon and starry sky,
surrounded by tall purple and pink flowers.

このプロンプトは80語で、55〜90語の範囲内に収まっています。子供、茶色の髪、青いパーカー、ランタン、葉、石畳の道、池、花のアーチ、月を正しく認識しており、画風をプロンプトに含めていません。

モデルは同時に、以下のネガティブ制約も返しました。

No text, no captions, no logos, no watermarks, no modern buildings,
no daytime lighting, no harsh shadows, no other people, no vehicles,
no animals, no rain, no snow.

「テキストなし」「透かしなし」「他の人物なし」は有用ですが、「乗り物なし」「雨なし」「雪なし」は、元の画像やタスクで要求されていない内容です。モデルが出力したネガティブプロンプトをそのまま使うのではなく、実際に使う前にこのような不要な項目は削除すべきでしょう。

このような被写体とシーンの記述を活用する場合は、整理したプロンプトをテキストからカートゥーン生成ツールに入力し、好みのカートゥーン、アニメ、クレイ、または絵本スタイルを選択します。これにより、「何を描くか」と「どのスタイルで描くか」を分離して制御できます。

テスト2: 1枚の画像を動画絵コンテに変換

2つ目のタスクは、同じ静止画像を8秒のシングルショット動画に拡張し、4つの時間軸、カメラワーク、連続性の制約、サウンド、最終的な動画プロンプトを提供することです。8秒に完全なストーリーを詰め込むのではなく、1つのアクションと1つの感情の変化が明確に見えることを目指しました。

モデルが生成した時間軸は以下の通りです。

時間DeepSeek が生成したアクション
0–2秒子供が石畳の道に立ち、三日月と続く光の小道を見つめる
2–4秒子供が一歩前に進み、ランタンを掲げて前方を照らす
4–6秒子供がやや右を向き、睡蓮の池とホタルを見る
6–8秒子供が微笑み、ランタンをそっと揺らし、暖かな光が周囲の花を照らす

また、以下のカメラワークを提案しました。

Slow, smooth dolly-in with a slight tilt-up, maintaining a medium-full shot of
the child.

最終的な動画プロンプトは81語です。

A cute chibi child with brown hair and a blue hoodie stands on a stone path in a
magical night garden. She holds a glowing lantern and a large green leaf. The
garden is filled with pink and purple flowers, a pond with water lilies, and a
stone archway. A crescent moon shines in the starry sky. Fireflies and a winding
trail of lights lead into the distance. The child looks around with wonder, her
lantern casting a warm, golden glow.

大枠は間違っていませんし、最終プロンプトも60〜100語の制限内です。ただし、細かく確認すると、3つの明確な問題があります。

  1. カメラワークは1つだけ指定したのに、dolly-in と tilt-up の両方が含まれている。
  2. continuity_locks で、元画像の tan shorts が yellow shorts になっている。
  3. 元画像からはキャラクターの性別が判別できないのに、最終プロンプトで she を使用している。

時間軸のアクションも多めです。前進、振り返り、ランタンを揺らす動作が8秒に詰め込まれています。実際に動画生成に使うなら、「一歩前に進みランタンを掲げる」だけに絞り、振り返りと2つ目のカメラワークは削除するでしょう。

これらの問題を修正した後は、AIカートゥーン動画生成ツールにキャラクター参照画像をアップロードし、明確なアクション1つ、カメラワーク1つ、シンプルな背景音で短い動画を生成できます。

テスト3: 1枚のキャラクター画像から6ページのAI絵本を設計

3つ目のタスクは、5〜7歳の読者向けに6ページのストーリーを作成することです。タイトル、要約、テーマ、キャラクター、連続性、表紙の説明を含みます。各ページのナレーションは35〜55語で、キャラクターリストには画像に実際に写っており、かつ継続して登場するキャラクターのみを入れるよう指示しました。

DeepSeek はストーリーを Luna's Lantern Path と名付け、テーマは「闇の中の小さな光がもたらす勇気と魔法」としました。6ページすべてが生成され、ストーリーには明確な始まり、課題、結末があります。Luna が庭園に入り、光を追って池にたどり着き、柳の木の助けを求めに応え、ランタンで花を目覚めさせ、家に帰るという流れです。

ページナレーションの要約実際の語数
1Luna が夜の庭園に入り、冒険の準備にランタンを掲げる28
2彼女は星のようにきらめく光を追って庭園の奥へ進む26
3池のほとりに着き、ランタンで水面を照らす26
4柳の木が眠っている花を目覚めさせてほしいと頼む25
5彼女はランタンを高く掲げ、金色の光が花びらに触れる24
6庭園が光に満ち、彼女は明るい心で家に帰る25

6ページ分の元のナレーションは以下の通りです。

1. Luna stepped into the night garden. The moon was a silver smile, and the
flowers were fast asleep. She held her lantern high, ready for a new adventure.

2. A trail of tiny lights danced ahead of her. They looked like fallen stars,
twinkling and winking. Luna giggled and followed them deeper into the garden.

3. The lights stopped by a pond. The water was dark and still. Luna leaned over,
but her lantern's glow made the water sparkle like a mirror.

4. A soft whisper came from the willow tree. 'Little light, the flowers are too
sleepy to wake. Can you help them bloom?' Luna nodded bravely.

5. Luna lifted her lantern high. A warm golden light spilled out, touching every
petal. One by one, the flowers opened their eyes and smiled.

6. The garden was full of light and color. Luna smiled, knowing she had helped.
She walked home, her heart as bright as her little lantern.

ストーリーは一見完成しているように見えますが、項目ごとに確認すると問題が多く見つかります。6ページすべてのナレーションが実際には24〜28語であり、要求された35〜55語の範囲に達しているページは1つもありません。キャラクターリストには The Willow TreeThe Fireflies が追加されており、柳の木にはセリフまでありますが、元の画像はこれらの新しいキャラクターを裏付けるには不十分です。

したがって、この結果をそのままイラスト生成に使うことはできません。製品に組み込む場合は、少なくともページ数、各ページの語数、キャラクターの出典、絵の説明を自動チェックし、モデルにナレーションを書き直させるか、根拠のないキャラクターを削除するかを決定する必要があります。

これらの問題を修正した後、ストーリーをAI絵本生成ツールに入力し、編集可能なナレーション、表紙、各ページのイラストを制作します。毎回その場でプロンプトを書くよりも、先にキャラクター設定と連続性を確定させておく方が、制作途中で絵が変わってしまうリスクを減らせます。

DeepSeek V4 Flash Vision API の呼び出し方

公式ドキュメントでは、画像入力の方法として Base64、公開画像URL、Files API の file_id の3つがサポートされています。小さな画像を一時的にテストする場合は Base64、画像がすでに公開URLにある場合は URL を直接渡し、同じ画像を繰り返し使用する場合は Files API が便利です。

以下は、簡略化した Python 呼び出しの例です。

import os
from openai import OpenAI

client = OpenAI(
    api_key=os.environ["DEEPSEEK_API_KEY"],
    base_url="https://api.deepseek.com",
)

response = client.chat.completions.create(
    model="deepseek-v4-flash-vision-exp",
    messages=[
        {
            "role": "user",
            "content": [
                {
                    "type": "text",
                    "text": "参照画像を分析し、シングルショット8秒の動画プロンプトを生成してください。",
                },
                {
                    "type": "image_url",
                    "image_url": {
                        "url": "https://example.com/reference.png",
                        "detail": "high",
                    },
                },
            ],
        }
    ],
    extra_body={"thinking": {"type": "disabled"}},
)

print(response.choices[0].message.content)

画像は user メッセージ内に配置します。detail: "low" はおおまかな内容の把握に適しており、キャラクターの服装や小道具を判別する必要がある場合は high または original を選択します。ファイルサイズ、画像枚数、入力方法の具体的な制限は、公式 Vision ドキュメントを参照してください。

モデルが返す JSON を検証する理由

今回の3回の正式なリクエストでは、いずれもパース可能な JSON が返り、Markdown コードフェンスも付いていませんでした。ただし、事前の試行では「有効なJSONのみを返せ」と明示したにもかかわらず、モデルは結果をコードフェンスで囲みました。今回成功したからといって、今後も常に正しい形式で返るとは限りません。

実際に製品へ組み込む際は、少なくとも以下の項目をチェックする必要があります。

  1. 返された内容が JSON として正常にパースできるか
  2. 必須フィールドが存在し、型が正しいか
  3. 時間軸やAI絵本のページ数が要件を満たしているか
  4. ナレーションと最終プロンプトが語数範囲内か
  5. キャラクター名、服装、主要な小道具がシーン間で一貫しているか
  6. 出力に許可されていないスタイル語、字幕、透かし要件が混入していないか
  7. finish_reasonlength ではなく stop であるか

プロンプトの整理や定型フォーマットの記入では、長い内部推論は通常不要です。公式の思考モードドキュメントを参考に、タスクに応じて thinking を無効にするか判断してください。ストーリーの論理が複雑な場合は有効にしても構いませんが、その場合は出力上限を引き上げ、本文が途切れるケースに備える必要があります。

どのような場面で活用すべきか

すでにキャラクター画像やイラストを持っており、それを他のコンテンツに展開したい場合、DeepSeek V4 Flash Vision は有用です。

  • キャラクター画像があり、再利用可能なシーンプロンプトを抽出したい
  • 完成したイラストがあり、短い動きのあるカットを設計したい
  • キャラクターと世界観があり、複数ページの子供向けストーリーに拡張したい
  • 参照画像から構造化されたキャラクター、シーン、小道具の情報を抽出したい

単にカートゥーン画像を生成したいだけなら、わざわざ視覚モデルを経由する必要はありません。AIカートゥーン生成ツールに直接アイデアを入力するか、参照画像をアップロードするだけで十分です。同じ素材を繰り返し使用したい、キャラクターの一貫性を保ちたい、あるいは1つのキャラクターを動画やAI絵本に展開したい場合に、このステップが価値を持ちます。

よくある質問

DeepSeek V4 Flash は画像入力に対応していますか?

通常の deepseek-v4-flash は画像を受け付けません。画像を認識させるには、公式モデル ID である deepseek-v4-flash-vision-exp を使用する必要があります。

DeepSeek V4 Flash Vision は画像を直接生成できますか?

できません。このモデルは画像を読み取り、テキストを出力する役割です。実際の画像を得るには、テキストから画像を生成するモデルや画像編集モデルを使用する必要があります。

Vision Exp とコミュニティ版の DeepSeek V4 Flash Vision は同じモデルですか?

同一とは限りません。公式の Vision Exp には明確な API ID があります。コミュニティプロジェクトは、他の視覚エンコーダー、プロキシ層、または独立してデプロイされたモデルを接続している可能性があり、呼び出し方法や実際の能力が異なる場合があります。

画像URL、Base64、Files API のどれを使うべきですか?

小さな画像をたまにテストする場合は Base64、画像がすでに公開URLにある場合は URL を直接渡します。同じ画像を繰り返し使用する場合やファイルサイズが大きい場合は、Files API を検討してください。

reasoning トークンが多いのに本文が空なのはなぜですか?

思考プロセスと最終的な本文は max_tokens を共有します。推論が先に枠を消費すると、本文が空になる可能性があります。定型フォーマットのタスクでは thinking を無効にし、必要な場合は出力上限を引き上げて finish_reason を確認してください。

モデルが返した JSON はそのまま保存できますか?

そのまま保存することはお勧めしません。まずコードフェンスが付いていないか確認し、JSON 形式、フィールド構造、配列の長さ、語数、キャラクターの連続性をチェックしてください。

検証結果:企画・設計段階に適したモデル

今回の3つのテストから、DeepSeek V4 Flash Vision の最適な役割は最終生成ではなく、制作前の整理と企画であることが分かりました。キャラクター画像を与えると、画像生成プロンプト、動画絵コンテ、AI絵本のドラフトを素早く作成でき、ゼロから素材を整理する手間を省けます。

ただし、出力された内容をそのまま使用することはできません。今回の画像生成プロンプトは概ね合格点でしたが、動画絵コンテではカメラワークと服装を誤り、AI絵本は6ページすべてが揃っているものの、語数要件を満たしたページは1つもなく、さらに独自のキャラクターを追加していました。完全な JSON が返ったことは形式が壊れていないことを示すだけで、内容が正しいことを保証するものではありません。

より実用的な使い方は、まずこのモデルに画像を読ませてドラフトを作成し、その後プロンプト、絵コンテ、ストーリーをそれぞれ対応する生成ツールに渡し、最後にキャラクター、服装、アクション、語数、形式をチェックすることです。このモデルは企画段階の作業を加速しますが、最終的な判断を代替することはできません。

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